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平成21年度与党税制改正大綱決定
 当所では、管内の中小企業経営者の意見をとりまとめ、日本商工会議所とともに強く要望を行ってきました。
 その結果、平成20年12月に平成21年度与党税制改正大綱が決定しました。
 この度は、昭和39年以来の悲願であった事業承継税制についての具体化が行われることになりました。
1.地域・中小企業の安定・活性化
◆事業承継税制の完成
取引相場のない株式に係る相続税の80%納税猶予制度の創設(平成20年10月1日以後の相続から適用)。
猶予された相続税額が免除される一定の場合(死亡以外)の具体化。
(1) 会社が破産または特別清算した場合
(2) 事業継続期間(相続・贈与後5年間)経過後に譲渡した株式の時価が猶予税額を下回った場合(「猶予税額−時価」を免除)
(3) 次の後継者に納税猶予対象株式を贈与して、事業継続を図る場合
取引相場のない株式に係る贈与税の100%納税猶予制度の創設(平成21年4月1日以後の贈与から適用)。
小規模宅地特例と株式に係る相続税の納税猶予制度の完全併用。
納税猶予取消しの場合の利子税の大幅引下げ(4.0%→2.2%)。
株式の信託を活用した事業承継に係る環境整備の検討。
◆中小企業対策税制(生活対策)
中小法人等の年800万円以下の所得に対する法人税の軽減税率(22%)を18%に引き下げる(2年間)。
中小法人等において、今年度の欠損金(赤字)を前年度の所得(黒字)に繰戻(相殺)して、前年度に納付した法人税額を還付する制度を復活する(平成21年2月決算法人から適用)。
◆企業立地促進法に基づく税制措置の拡充
対象業種(超軽量航空機や自動車にも使える炭素繊維、液晶用ガラス基板等製造業)の拡大。
◆長期保有土地等の事業用資産の買換えに対する課税の特例の拡充・延長
適用期限を、3年間に拡充した上で延長する。
◆商店街の活性化に向けた税制支援の拡充
土地等を譲渡した場合の1,500万円特別控除の適用対象に、商店街の活性化に関する法律(仮称)の認定を受けた商店街活性化計画(仮称)、または商店街活性化支援計画に基づく事業の用に供するために土地等を譲渡した場合を追加する。
◆中小企業の地力の強化・新たな事業活動展開の支援税制の延長等
事業の再生・継続を図ろうとする中小企業の再生計画を主務大臣が認定し、その認定を受けた計画に基づいて実施される事業譲渡や会社分割について、登録免許税や不動産取得税を軽減する。
農商工等連携・人材投資等に係る中小企業関連税制の延長。
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2.自立的な内需主導型成長に向けた経済の底力の発揮
◆省エネ・新エネ設備等の投資促進のための税制措置
エネルギー需給構造改革設備等の即時償却制度を創設する。
資源生産性向上促進税制を創設する。
◆住宅ローン減税の拡充・延長等
住宅ローン減税を延長・拡充する(一般住宅は10年間で最大500万円)。
長期優良住宅の新築に係る投資型減税制度を創設する。
住宅リフォームに係る投資型減税制度を創設する。
省エネ・バリアフリー・耐震改修促進税制を5年延長する。
◆海外子会社利益の国内還流のための国際租税改革
海外子会社からの受取配当の95%が益金不算入される制度(恒久措置)を創設する。
◆年金税制(マッチング拠出の容認等)
企業型確定拠出年金に導入されるマッチング拠出(事業主負担の範囲内でかつ事業主と合わせて拠出限度額の範囲内で行う個人拠出)の掛金は、その全額を所得控除の対象とする。
確定拠出年金の拠出限度額を引き上げる(企業型で他の企業年金がない場合。4.6万円→5.1万円)。
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3.その他
◆土地税制の延長・拡充
平成21〜22年中に取得した土地等の長期譲渡所得の1,000万円特別控除制度を創設する。
平成21〜22年に土地等の先行取得をした場合の課税の特例を創設する。
土地の売買等に係る登録免許税の軽減措置を2年据置く。
◆道路特定財源関係
道路特定財源制度を廃止し、一般財源化する。
◆現行証券優遇税制の延長、小額投資優遇措置の創設
現行の上場株式等の配当所得および譲渡所得等に対する10%軽減税率(本則20%)を3年間、延長する。
小額投資優遇措置(5年間毎年100万円までの株式投資の譲渡益・配当を非課税)を24年に創設する。
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詳しくは、経済産業省のホームページをご覧ください。
http://www.meti.go.jp/press/20081212009/20081212009.html
平成21年度与党税制改正大綱に対する日本商工会議所岡村会頭のコメント
 今般の税制改正大綱は、危機的局面にあるわが国の経済を早期に立て直す観点から取りまとめられたが、とりわけ中小企業の活力強化や経営基盤強化に資する税制措置を講じていただいたことを高く評価したい。
 特に、全国の中小企業者にとって、昭和39年以来の悲願であった事業承継税制については、自社株式に係る相続税の納税猶予制度の具体化が行われ、平成20年10月1日以後の相続から遡及適用されることに加え、今般、事業承継をさらに円滑化させる観点から、新たに贈与税に係る納税猶予制度も創設されるなど、大胆な措置を講じていただくこととなった。
今後、中小企業の事業承継を円滑に進めることができるようになり、事業の発展や雇用の維持が図られ、地域経済の活性化に貢献できるものと思っている。
 さらに、中小企業の経営基盤の強化に向けて、法人税の軽減税率を22%から18%に2年間引き下げることや、欠損金の繰戻し還付を平成20年度から前倒しで復活させることをご決定いただいたことは、景気後退に苦しむ中小企業にとり勇気づけられる朗報である。
また、省エネ・新エネ設備等の投資促進税制や住宅投資を促進する税制措置については、大きな経済波及効果が期待される。
 非常事態にある経済情勢であるからこそ、幹線道路など、必要不可欠な社会インフラの整備・補修は、十分な予算を確保した上で、着実かつ早急に整備していくべきである。
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