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平成22年度 福山商工会議所 事業報告

概 要
 金融危機・世界同時不況の影響などで、厳しい経済環境が続いていた我が国経済も、徐々に回復の兆しをみせていたが、年度中盤の急激な円高や口蹄疫問題、また、年度終盤に我が国を襲った未曾有の大震災の影響などもあり、総じて地域経済や中小企業にとって非常に厳しい年であった。

 このため、緊急支援対策として行政等の関係機関と連携し、資金繰りや各種助成制度、新事業展開などの相談が1つの窓口で受けられるワンストップ・サービス・デイの開催や円高、東日本大震災など個別の相談にスピーディに対応するための特別相談窓口を設置し、地域中小企業の支援を行なうとともに、特に東日本大震災については復興支援に向けた義援金募金のお願いを全会員に対し行い、多くの協力をいただいた。

 こうした中、当地域経済の基盤を支えている中小企業の活性化に向け個々の企業に対する金融・税制面での支援をはじめ、情報化の推進、国際化への対応、新規開業支援、中心市街地の活性化など、年間を通じてさまざまな事業を実施した。

 意見活動では、日本商工会議所と連携し税制改革等について関係各方面へ強力に意見・要望活動を行った結果、中小法人の軽減税率や法人実効税率の引き下げなどが税制改正大綱に盛り込まれた。

 また、中国・東南アジアとの貿易拠点として、福山港を輸送機能の強化に向けた重点港湾に選定するよう国に要望した結果、福山港が全国42港の一つに選定された。

 中心市街地の活性化に向けた取り組みでは、東桜町地区第一種市街地再開発事業 アイネスフクヤマが2月1日竣工した。加えて、商店街への人の回帰と地域文化の振興を目的にふくふくの運営に加えて、備後まるごと物産館やまちなか情報室ぜっぴへの設置運営の支援を行った。

 また、中心部の回遊性を向上させるためふくやま手しごと自慢市の開催や、福山城地域を中心に地域情報と文化の融合を目的に開催されたアートウオーク2010の支援や和菓子deアートを主催した。

 工業振興では、新たなビジネスチャンスの拡大を図るきっかけを作る場として第1回ビジネス交流フェアを開催するとともに、知的財産管理研究会の運営、特許等情報検索の指導や発明相談事業を行った。また、製造業企業の次世代幹部候補生を育成するため、びんご・ものづくりMOTセミナーを開催した。

 さらに、中小企業の経営基盤の強化に向けて、中小企業支援センター事業を通じて税理士や中小企業診断士等の専門家派遣事業を推進するとともに、マル経融資制度や提携ローン制度、リーグ保証制度の利用促進を図り、各種制度融資についても斡旋・相談指導を行った。

 会員企業向けサービス事業では、福の山共済等、共済制度の普及を推進した。また、ふれあい寄席、生活習慣病予防健診等の実施や会員の親睦交流を促進するためボウリング大会やゴルフ大会も開催した。
大学、研究機関との連携では、福山市の大学設置基本構想検討委員会に参画し、福山市立大学の開学支援を行うとともに、広島大学、福山大学、福山市立女子短期大学、ポリテクカレッジ福山等との産学連携による各種事業やセミナー等を実施したところである。

 このように、多くの会員の期待と信頼に応えるべく、未来を見つめ、地域の発展を担う使命と役割を十分認識し、元気な福山の創造を目指して、幅広い分野において全力をあげ、積極的に事業活動を行った。

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重点項目別状況
1.中小企業施策推進や地域振興のための意見活動の展開
 商工業の総合的な振興を図るため、国や県市等に対し積極的な提言や陳情要望を行うとともに、各種会議や懇談会を開催し、幅広い意見活動を展開した。
(1)  広島県内商工会議所会頭会議において採択された「中小企業の危機克服・地域活性化に関する決議」をもとに,中小企業の活力強化、地域経済の活性化のために、今後の経済状況を踏まえた補正予算の早期成立と速やかな執行、成長重視の平成23年度予算編成と新成長戦略の本格実施、中小企業等関係税制の拡充、地球温暖化問題および雇用・労働問題への対応などに早急に取り組むよう地元選出国会議員や関係各方面へ強く要望した。
(2)  平成23年度税制改正に関しては日本商工会議所などと協調して要望活動を行った結果、中小法人の軽減税率(現行18%)15%への引き下げ(3年間)、法人実効税率の5%引き下げ、繰越欠損金制度の拡充、雇用促進税制の創設などが税制改正大綱に盛り込まれた。
(3)  福山市、福山市議会トップとの経済行政懇談会を定期的に開催し、地域産業の振興策、福山駅前整備計画、福山市立大学の運営などについて意見交換を行い、中心市街地の活性化対策、活力ある地域経済社会の実現など、幅広い分野にわたる提言や要望を行った。
2.高次都市機能の獲得と活力ある都市基盤の整備
 地方拠点都市・中核市にふさわしい活力ある地域経済社会の実現のため、高次都市機能の集積、地域産業の高度化等魅力ある都市圏の形成を推進するとともに、総合交通体系の整備や港湾機能の整備について、関係機関に対し積極的な働きかけを行った。
(1)  空港については、広島空港の機能強化対策や利用促進について協力した。あわせて、広島県空港振興協議会にも参画した。
(2)  道路網については、国道2号バイパス(福山道路)、福山西環状線の建設促進や主要地方道府中・松永線、松永港・本郷線、神辺水呑線等の早期整備等について、それぞれ工事の進捗を強く促した。また、西瀬戸自動車道(瀬戸内しまなみ海道)のアクセス道路と尾道・福山自動車道の整備促進を、中国横断自動車道(尾道・松江線)については早期の全線開通を要望した結果尾道JCT〜世羅IC間が暫定供用された。 
(3)  鉄道については、開業12年を迎えた井原鉄道鰍フ経営に参画し、利用者増加策の支援を行った。
 また、九州新幹線鹿児島ルートの全線開業に伴い、「みずほ」「さくら」の福山駅停車を強く要望した結果、「さくら」の全便福山駅停車が実現した。
(4)  重要港湾福山港並びに尾道・糸崎港(松永港)については、広島県・福山市や広島県東部港湾振興協会等との協力により、それぞれの港湾機能の整備充実を働きかけ、福山港では全国42港の重点港湾の一つに選定されるとともに、待望の国際コンテナターミナル第二バースが竣工した。
 また、これまで福山市で開催していた「ポートセミナー」を初めて県外の笠岡市で開催し、福山港、尾道糸崎港の利用を岡山県企業にPRした。さらに、大連・上海を訪問し、ポートセミナーの開催並びに現地企業の訪問を行い、福山港の利用を促進するとともに、広島県等と広島銀行が「対中国貿易拡大のための連携協定」を締結したことに伴い、上海の「ひろぎん上海広友会」において福山港等の施設紹介などを行い、洋山深水港の視察も行った。
 松永港については、昨年に引き続き利用促進懇談会を開催し、国・県に対し、航路・泊地の浚渫や機織地区の施設利用料の軽減など利用しやすい港に向けて継続整備を要望した。
(5)  福山市の設置する福山市都市計画審議会、福山都市圏交通円滑化総合計画推進委員会などに参画し、都市基盤整備を推進するとともに、市内循環バス「まわローズ」の利用を促進するため、沿線の店舗と連携し1日乗車券の提示で飲食の割引などを行うまわローズ活用事業を実施した。
3.新たな成長と発展に向けての地域産業の振興
 地域活性化の基盤である産業の振興については、中心市街地の活性化に向けた福山市中心市街地活性化推進事業を実施するとともに新規開業・ベンチャー企業の支援、流通の近代化推進など、積極的な取り組みを行った。
(1)  市街地再開発事業については、伏見町地区第一種市街地再開発事業及び東桜町地区第一種市街地再開発事業を積極的に支援し、伏見町地区では新コーディネーターにより新たな開発計画の策定に向けて懸命な取組みがなされており、東桜町地区では福山市の新たなランドマークとなる「アイネスフクヤマ」が竣工の運びとなった。ソフト事業とし ては、TMO構想に基づいた「ふくふく」の運営をはじめ、継続的賑わい創出イベントとして商店街7カ所で毎週土曜日に開催している「毎土市場」の運営支援を行った。また、中心商店街の賑わい創出イベントとして、「七夕フェスタ2010」の支援や、地産地消とエコをテーマに福山本通商店街活性化事業としてスタートした「まちなか・え〜こと市」の開催を支援した。さらに、久松通商店街にオープンした備後まるごと物産館の運営支援や本通商店街にオープンした店内にレンタルボックスや井戸端テーブルを持つ「まちなか情報室ぜっぴ」の設置・運営の支援を行った。また、中心市街地の新しい賑わいを創出し、回遊性を高めるイベントとして「ふくやま手しごと自慢市」を市内中心部で開催し、街の賑わいを創出した。
 福山市立女子短期大学との連携事業として、消費者の立場でもある学生(若者)の視点から福山市の中心商店街の現状を確認する中でシーズを発見し、商店主との懇談会の場などを通して商店街活性化方策の提案を行った。

(2)  工業の振興については、各種協同組合との連携による展示会、コンクール、講演・講習会等を開催した。また、備後エリアの企業が一堂に集まり、企業間の人材交流や製品・技術交流、大学等研究機関の発表を行う中で、新しいビジネスチャンスの拡大を図るきっかけづくりの場として「第1回ビジネス交流フェア」を開催した。さらに、日本政策投資銀行と共同で「びんご・ものづくりMOTセミナー」を開催し、MOT理論(技術を経営に活かす理論)を学習するなど企業の次世代幹部候補生の育成を図った。福山産業教育振興会では、企業見学会や研究発表会を開催するとともに、福山職業能力開発短期大学校の支援を通じ、地域企業の技術力向上を推進した。
また、広島大学、福山大学、福山市立女子短期大学との連携により産学交流事業を実施するとともに、近隣大学から講師を招き隔月でローズサロンを開催し、大学の持つシーズと地域産業界のニーズのマッチングに努めた。
その他、地域の児童生徒に科学的で独創的な創作活動を通して、発明・工夫の楽しさを知ってもらうことで創造性豊かな人間形成を推進する事を目的とする、福山少年少女発明クラブの活動支援を行った。
 また、広島大学、福山大学、福山市立女子短期大学との連携により産学交流事業を実施するとともに、近隣大学から講師を招き隔月でローズサロンを開催し、大学の持つシーズと地域産業界のニーズのマッチングに努めた。
 その他、少年少女に科学的な興味、関心を呼び起こし、創造性豊かな人間形成を目的とする、福山少年少女発明クラブの活動支援を行った。
(3)  観光の振興については、地域資源∞全国展開プロジェクト調査・研究事業に取組み、来街者の動向から、中心市街地における誘客の可能性を探るとともに、福山城から鞆の浦にかけてのエリアについても地域観光資源としての新たな可能性を探った。
 映画「少女たちの羅針盤」の製作費を負担するとともに、福山ロケに対して地元支援スタッフに当所からも職員を派遣し、人的支援も行った。さらに、同映画の成功のため、映画「少女たちの羅針盤」福山上映実行委員会に参画し、公開に向けてのPR活動を推進した。
 インバウンド観光については、県内関係機関と情報交換を行うとともに、鞆の浦の日常の光景を海外へ発信するため、英語版を備えたインターネットサイトを開設した。
 鯛網実行委員会に加わり「鞆の浦観光鯛網」の誘客に積極的に協力した。
 NHK大河ドラマ「龍馬伝」の放送に伴い、いろは丸事件の舞台となり坂本龍馬ゆかりの地である鞆の浦を発信するために設置された「福援隊」に参画し、各種発信事業の実施に協力した。
また、福山市・福山市観光協会とともに組織した実行委員会を核に、ホスピタリティの向上と福山ファンの増加、観光に係わる人材の育成・発掘を目的に「福山知っとる検定」を実施しているが、4年目を迎え、テキストを使った講習会が開催されるなど広がりを見せ、受験者の増加に努めるとともに2・3級については東京会場を設け、中央での都市宣伝にも努めた。
(4)  環境対策事業では、広島県環境保全公社、環境にやさしいまち福山実行委員会、エコでえ〜こと実行委員会などに参画し、「環境保全講演会」、「エコでえ〜ことキャンペーン」などに協力するとともに、全市一斉清掃への参加を会員企業に呼び掛け、環境問題に対する啓発活動を推進した。
  また、会員企業を対象にエコアクション21認証取得による環境経営への取組みを学ぶセミナーを開催した。
(5)  商工技術検定事業については、企業活動に役立つ人材の育成のため、「日商PC検定」・「簿記検定」・「販売士検定」などを実施する中で昨年に引き続き日本商工会議所が推進している「検定拡充5%運動」に取組み目標を達成する事が出来た。さらに、国家試験である「情報処理技術者試験」を受託し、春期と秋期に実施した。
(6)  当所に設置している広島県知的所有権センター支部については、常駐の特許情報活用支援アドバイザーにより、インターネットによる公報閲覧、特定技術分野におけるデーターベースの検索・閲覧を企業に出向いて指導するなど、利用者の利便性に配慮した情報の提供に努めた。また、発明相談員による特許技術の商品化や既存技術の応用などについて、指導・相談等を行い技術開発や事業化支援を行った。さらに、当地域中小企業の知的財産管理担当者を対象とした「知的財産管理研究会」の運営支援を行い、各企業の知財担当者のスキルアップを図った。
(7)  農林水産業の振興については、国内自給率の低下や耕作放棄地の拡大が問題視される中、福山市地産地消推進協議会に参画し、「味わい満載 福山産・福山発 旬の味わい」をテーマに開催された「産直市フェスティバル」に協力した他、農商工連携を推進するため、セミナー等を開催した。
4.中小企業・小規模企業の基盤の強化と創業・経営革新支援
依然として厳しい経済状況が続く中、経済産業局等関係機関による協力のもと、資金繰り、経営改善、海外展開、雇用調整助成金などの相談が、1つの窓口で受けられる「ワン・ストップ・サービス・デイ」を開催し、中小企業の支援を行った。

 福山地域中小企業支援センター事業については、地域経済発展の基盤である中小企業の経営の安定と発展を支援するため、税理士や中小企業診断士等の専門家をコーディネーターとして委嘱し、中小企業者の諸課題をワンストップ型の相談体制で支援し、来所が難しい方を対象にした「移動相談会」及び「アドバイザー派遣」も積極的に展開した。また、創業を目指す人を対象とした「創業塾」や、経営環境の変化に取り組む若手経営者や幹部社員、次の経営を担う後継者等を対象に「経営革新塾」等を開催した。

 さらに、県東部地域における広島大学の学術総合窓口を担うため、支援センター内に開設されている広島大学福山サテライトオフィスでは、広島大学の産学・地域連携センターが、学術相談や技術指導等の窓口相談に対応するとともに、支援センターと連携して広大出前講座等の事業を展開した。

 中小企業の情報化支援では、情報化に関するセミナーとして、「IT経営力UPセミナー」「IT経営気づき研修会入門編・基礎編」「ICTセミナー」「情報セキュリティセミナー マネジメントコース入門編T・入門編U」などを開催した。 

 また、急速に拡大する電子商取引市場に本会議所の会員事業所が容易に参加する機会を確保するため、全国の商工会議所や公的団体が共同で運営する事業所データーベース・ザ・ビジネスモールに参加し、本会議所会員事業所が「商取引支援サービス」や「ビジネス支援サービス」を利用することでビジネスチャンスを拡大できるよう努めた。

 さらに、国や地方自治体で進めている電子入札に対応できるよう電子証明書などを発行する電子認証局である日本商工会議所並びに(株)帝国データバンク、セコムトラストシステムズ鰍フ申請の取次ぎ業務を行い、PRなど啓発活動を推進した。

 小規模事業対策については、小規模事業者の金融・税務・経営・労働等に対する巡回・窓口相談を行うとともに、移動経営相談会等を開催したほか、各種研修会・講演会・講習会を開催し、小規模事業者の経営資源の向上に努めた。

 小規模事業者経営改善資金(マル経)融資は、推薦件数で41件(対前年比65.1%)、金額では1億6,850万円(対前年比57.9%)であった。また、市内に所在する9金融機関と提携し会員限定の優遇された条件で融資が受けられる融資制度「福山商工会議所会員向け提携ローン」や、広島県信用保証協会の「リーグ保証制度」及びその他制度融資等、平成22年度全体での金融斡旋の結果、貸付件数で54件、貸付総額では2億3,350万円となっており、中小企業者の事業資金調達に寄与した。
5.調査・広報活動の積極展開
 調査・広報活動については、「景気観測調査(DI方式)」、「商工会議所LOBO調査」などの定期調査、並びに「広島県内の賃金並びに雇用実態調査」、急激な円高に伴い「円高に関する緊急アンケート調査」などを実施し、会員や地域に対して情報提供を行うとともに、本会議所事業にも反映させた。

 会員に情報提供し活用していただくため、機関誌「商工ふくやま」を発行した。

 また、ホームページやエフエムふくやま「ハロー!商工会議所」及び従来のファクシミリ方式に加え、メールマガジン、ブログ方式の議員向け「FCCIライナー」及び会員向けメールマガジンにより、地域に根ざしたタイムリーな情報を発信するとともに、「平成22年度福山市のモデル賃金」並びに、福山市の統計資料「FUKUYAMA NOW平成23年版」を発行し、広く調査資料の提供を行った。

 さらには、コミュニティFM放送局(株)エフエムふくやま・レディオBINGOの運営にも協力した。
6.国際経済交流の推進と国際ビジネス活動支援
 マウイ日本人商工会議所との交流については、福山市などと共同で高校生を中心とした親善訪問団を派遣し、マウイカウンティフェアの視察や現地高校生との交流を深めた。また、「Summer Exchange 2010」としてマウイの高校生22名を受け入れ、会頭、市長への表敬訪問や市内の高校を訪問し交流を深めた。

 一昨年福山市と友好提携30周年を迎え多方面で活発な友好交流が進んでいる韓国・浦項市を訪問し、浦項商工会議所と今後の経済活動などについて意見交換を行った。

 当所木材・伝統産業部会と国際交流委員会では、成長著しいロシア、極東・シベリアの経済情勢を視察するためイルクーツク・ハバロフスクを訪問し現地情報の収集などを行った。

 さらに、港湾整備特別委員会と国際交流委員会では中国の舟山市・上海市・連雲港市を訪問し、先進港湾・開発区の視察、市政府との懇談、現地関連企業との交流及び上海万博の視察を行った。

 また、当所が支援する国際ビジネス研究会では、ベトナム中部における経済・文化等の中心であるダナン市を訪問し、現地経済事情の調査やビジネスチャンス発掘行なった。

 さらに、輸出入時の関税の減免措置が図れる経済連携協定(EPA)に基づくメキシコ・マレーシア・タイ・チリ・アセアンなどに向けての特定原産地証明を発給(全国21商工会議所で発給)し、地域企業の輸出促進を支援した。
7.雇用対策の充実と人材育成事業の強化
 人口減少社会や高齢化が進む中、一昨年より続く厳しい経済情勢を背景に、本会議所管内の雇用情勢は、有効求人倍率が緩やかではあるが、0.9倍程度まで回復したとはいえ、予断を許さない状況が続いた。

 こうした中、政府の成長力底上げ戦略の一環として、正社員経験が少なく、そのためキャリアの形成機会に恵まれない人を対象として「職業能力形成システム(ジョブ・カード制度)」の普及を目的に、地域ジョブ・カードサポートセンターを設置し、雇用のミスマッチを解消するとともに人材の定着化を推進した。

 また、当地域内に優れた人材を誘引し、安定した雇用機会の確保を支援するため、福山地方雇用対策協議会等と連携し、新規学卒者やU・Iターン就職者のための「就職ガイダンス」や「U・Iターン就職・総合就職相談会」、「企業と学校の交流会」などに参画した。

 従業員教育としては、「新入社員セミナー」や「接客セミナー」「管理者研修」「若手・中堅営業社員強化研修」など、幅広いテーマで実施し、従業員の資質向上に努めた。

 さらに、次代の社会を担う子供が健やかに生まれ、育成される環境の整備を進めるため、当所が次世代育成支援対策推進センターとして厚生労働省から指定を受けていることに伴い、次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画策定に向けて広報・啓発活動に努めた。

 その他、福山地域産業保健センター運営協議会、福山市男女共同参画センター、福山・府中地域保健対策協議会や福山・府中障害保険福祉圏域障害者就労支援ネットワーク会議などの運営にも参画した。
8.地域文化の進展と地域貢献事業の支援
 ふくやま芸術文化ホール(リーデンローズ)、ふくやま美術館、ふくやま書道美術館、広島県立歴史博物館、ふくやま文学館、福山明るいまちづくり協議会、福山地域文化振興協議会、(財)ひろしま文化振興財団などに参画した。また、福山文化連盟、福山ばら会、島田荘司選ばらのまち福山ミステリー文学新人賞実行委員会などの団体や事業を支援するとともに、全国小・中学生箏曲コンクール、音楽コンクール、各種書道展など地域の伝統文化・芸能、芸術活動にかかる多彩な行事を支援し、豊かな住みやすい文化都市づくりを促進した。

 また、昨年度まで、福山葦陽ライオンズクラブ主催により開催していた福山城映像ライトアップ事業を拡大実施するため、同ライオンズクラブ、福山青年会議所とともに福山城アートプロジェクト実行委員会を組織し、福山城を中心に広がる文化ゾーン一帯で全国各地から11組のアーティストを招き現代アートをテーマにした「ふくやまアート・ウォーク2010」を開催し、都市感度の向上と地域文化の醸成に努めた。

 さらに、平成25年に広島市を中心に開催される全国菓子大博覧会を目指し、現代アート作家と当地域菓子業者とのコラボレーションによる新しい和菓子アート展「和菓子de ART」を開催し、菓子業者の感性と技術のレベルアップを図ると同時に、地域文化を発信することで観光振興としての可能性も確認した。
9.本所組織運営基盤の強化と会員サービスの充実
 任期満了に伴う第20期の議員選挙選任を行い120名の議員が確定した。これに伴い林会頭をはじめとし、副会頭4名、常議員40名、監事3名、専務理事1名、理事1名の役員も選任され、大変厳しい経済環境下で、地域経済のたゆまない発展を推進していくための新体制が発足した。 

 当地域の発展と社会環境の変化に伴い、多様化する本所の使命と役割を果たすため、部会や委員会活動を積極的に展開し、当面する課題や平成22年度事業に向けての取り組み等について検討を行い、地域の要請に応えるとともに、部会、委員会の意見を反映して本所事業の充実に努めた。

 また、会員と会議所との連帯感を高め会員意識の高揚を図るため、「議員・創業永年会員・優良従業員表彰式並びにふれあい寄席」「会員親睦ボウリング大会・ゴルフ大会」を開催した。さらに、会員向け福利厚生事業では、充実した独自給付を持つ「福の山共済」をはじめとする各種共済制度の普及、「生活習慣病予防健診」や「創業周年会員章カード(駐車場利用券付)」の発行や、会員事業所従業員のスキルアップに資するため会員割引料金で利用できる「通信教育」を提供するなど各種会員サービス事業を実施した。
多目的交流施設・広島県立ふくやま産業交流館(ビッグ・ローズ)については、利用率の向上及びより活発な経済交流を図るため、設備機器等の改修補修や、利用者より要望・意見を聴取し改善に努めた。また、企業・団体へのPR活動を展開し、新たなイベント誘致に努めるなど、適正な維持管理と効率的な運営を行った。さらに、開館10周年記念事業として、全館と駐車場に、パトカー、消防車、バス、自衛隊車両、工事車両など30台を展示する「はたらく車パーク」を開催した。なお、平成23年度から5年間の次期指定管理について応募したが、広島県から指定を受けることができなかったため、ふくやま産業交流館の管理業務を終了した。

 本会議所ビルについては、建物および設備機器の保守・整備や必要個所の補修を行うとともに、駐車場出庫時の渋滞緩和策として、敷地西側へパスカード専用出口を新設するなど安心・安全・快適な居住環境の維持・向上と機能整備に努めた。

 平成23年3月11日に起こった東日本大震災への緊急対応として、全会員に対し復興支援義援金のお願いをし、多くの会員の協力により被災者の支援を行うとともに、東日本大震災に関する特別相談窓口の設置や経営指導員の派遣についても日本商工会議所に登録を行い支援体制を整えた。
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