「少女たちの羅針盤」映画製作の現場から【後編】>第1話

【後 編】
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 第1回「ばらのまち福山ミステリー文学新人賞」で優秀賞を受賞した水生大海さんの小説「少女たちの羅針盤」の映画化が決まり、昨年(2010年)6月末から7月末にかけて、福山市内全域でロケが敢行されました。
 2011年5月14日、映画「少女たちの羅針盤」が、いよいよ全国公開になります。
 広島県内での先行公開に合わせて映画制作に携わった経験を書き綴り、映画公開前日の4月22日で一旦終了したお話ですが、その後各方面から「続けて欲しい」との声を多く頂戴いたしました。
 インターネット上に公開する映画制作物語を熱心に読んでくださっていた方がいらっしゃることを知って、ありがたく思います。 「皆様のご期待に応えて」と言うとおこがましいですが、「好評いただいているのなら」と思い、後編として書き綴ることにいたしました。
 後編では、私が担当した美術スタッフとしてのお話だけでなく、地元支援スタッフチームが結成される以前に関わったことや、制作の現場で起こったことを中心に、当時を思い出しながら。。。
文責:片岡 達樹)
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【第1話】
イメージができない「ロケーションハンティング」
update:2011.05.11
ロケーションシートと台本

 2010年5月3日、「東京から制作スタッフが来ている。とりあえず顔を出してくれ」と緊急の連絡がありましたのでノコノコと行ってみると、いきなり「ロケーションノート」というペーパーを渡されました。

 このペーパーは、シナリオにあるシーンをどの場所で撮影するのか、、、要するに、初期の段階で、ロケ場所の候補を挙げて記載していくためのものなのですが、東京のスタッフは福山のことが解りませんので、地元のスタッフが頭をひねりながら、自分の持っている情報の中でロケの場所を考え、見つけ出すわけです。

 が、しかし、これがサッパリ判りません。

 例えば、あるシーン。。。「人気のない道」と書いてあります。シャレのような話ですが、マジで「 
にんき のない道って、どういう意味ですか?」と質問してしまいました。
 「 
ひとけ のない道」ですと言われましたが、これがイメージできません。

 「シナリオを読めば判る」と言われましたが、イメージできません。

 山の中?街の中?それとも住宅地の中???
 本当に寂しい場所なのか、時間帯によって人通りが少なくなる場所なのか??? 

 シチュエーションを考えれば考えるほど、判らなくなってしまいました。

 また、「瑠美の家」と書いてありますが、瑠美がどのような人格なのか、また、どのような家庭環境なのか、さっぱりわかりませんので、頭を抱えてしまいました。
 「シナリオを読めば判るって言うけど、こちとら素人じゃんか!文字だけ読んで、プロのクリエーターが頭の中に描くイメージなんて判るわけね〜べ」、、、なんて思ってしまいました。

 しかし、不思議なものです。スタッフの中に身を置き会話を続けていると、なんとなくイメージでき、頭の中に浮かんでくるものです。

 クランクアップの翌日、静かになったスタッフルームで制作会社の方と話をしていると、彼らのように長年やっている業界人でも、後になって思いついたり見つかるものなのだそうです。

 ちなみに、私が候補として挙げた場所、採用されたのは一か所だけでした。

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次回 ■第2話■ 「ロケができなかった場所・Vol.1」は、
5月13日金曜日UP予定
【少女たちの羅針盤】
 「羅針盤」という名で注目を集め始めた女子高校生4人の演劇ユニットで起きた事件。事件の真相が4年後、明らかになる。

【関連サイト】

 ・少女たちの羅針盤公式サイト

 ・少女たちの羅針盤公式ブログ

 ・ばらのまち福山ミステリー文学新人賞
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