HOME > 平成23年度 国際ビジネス研究会 香港・マカオ視察会



国際ビジネス研究会(会長 松葉満彦 (株)福山産業翻訳センター 代表取締役)会員13名、事務局1名(計14名)で、11月23日(水)〜26日(土)の日程でアジアの主要なビジネスハブであり、躍動する中国市場にアクセスする上で最高の拠点である香港とマカオを訪問した。
 
1日目(11月23日(水))
7:00 広島空港2階国際線出発ロビー団体受付カウンター前へ集合し、結団式を行った。
9:00 広島空港発(チャイナエアライン)台北行に搭乗。一路台北へ。
12:55 台北国際空港乗換(チャイナエアライン)香港行に搭乗し、一路香港へ。
15:10 香港国際空港着
16:10 入国検査後、空港より香港島へ向かった。
17:00 ジェトロ香港を訪問し、経済調査・企業支援部部長 白井宏幸氏より説明を受けた。
ジェトロ香港は日系企業の農水産物輸出の支援などをしている。平成22年農林水産物等輸出実績において、香港は日本にとって最大の輸出先である(約1210億円)。香港は農産物を作る土地がほとんど無く、ほぼ100%輸入に頼っている。中でも中国からの輸入は近距離で、値段も安いため一番多い。
日本製品は3.11の大震災以降は原発事故による風評被害の影響を受けたが、徐々に収束しており、来年には地震前の輸出規模に戻ると話された。
香港には日本の外食業界や小売業界、サービス業界など日系企業が数多く展開している。
香港日本人商工会議所会員数は、586社(2011年9月15日現在)、在香港邦人数は21,297人。(在留邦人数のランキングでは世界9位。アジアでは上海、バンコク、シンガポールに次いで4位。)
近年日系企業が多く香港に進出してきている理由は3つある。
1つ目は、香港市場は一定の富裕層が存在しており、先進地域でハイエンド商品も売れ、日本ブランドが浸透しているなど消費市場であること。
2つ目は、年間2,200万人の中国人が香港へ訪問し、香港で流行すると中国でも流行するなど中国への進出への足がかりとして期待できること。
3つ目は、香港は相続税や消費税が無く、法人税も最大で16.5%と安いなど税制面で優遇されているためである。
ジェトロ香港にて
2日目(11月24日(木))
10:00−12:00 香港サイエンスパークを訪問した。
香港サイエンスパークは、100%香港政府が投資しているが、その運営は香港科技園公司という法人組織が行なっており、香港特別行政区政府が、中国返還後の香港を「知的集約型都市」へ転換することを目的として建設された研究開発センターである。
地元企業のみならず、海外の企業にも積極的に誘致活動を行なっており、日本企業も研究開発部門を設置している。
開発分野としては、IT・電気通信、エレクトロニクス、精密工学、バイオテクノロジーの4分野に焦点をあてており、それぞれ専用のビルが1棟ずつ割り当てられている。各ビルには設計・テスト用などの最新のハードウェア・ソフトウェア設備が整えられており、入居企業はそれらを時間貸しで利用できる。また、特許など知的財産権のライブラリが用意されており、無料でアクセスできるほか、ライセンス貸与のサポートなども行なっている。自前で研究開発施設を建設する必要はないなどの利点がある。
香港サイエンスパークに入居している「ASTRI」という企業も見学した。
「ASTRI」は法人だが、ファンディングは政府からの支援や業界からサポートを受けて設立した会社で、従業員は585名。従業員の146名(25%)が博士号、310名(53%)が修士号を取得している。応用技術を開発して、他社へ提供したり、成功しているプログラムがあれば、新たな会社を作ったりしている。今まで75項目で事業を譲り渡したという。案内をしてくださったフェリス・チャン氏はバイオメディカル電子チームに所属しており、医療関係で携帯可能なディバイスや手術中に体内の画像が見える眼鏡を開発しており、実際に研究室を見学した。
香港サイエンスパークにて
香港サイエンスパークに入居している「ASTRI」にて
14:00−15:30 インベスト香港(香港投資推進局)を訪問し、インベスト香港局長代理チャールズ・ング氏よりつぎの説明を受けた。
香港の強みについては、
香港は、2010年グローバル・シティ指数で世界5位。
1国2制度(世界で唯一)実行している。
香港は普通法で予測可能でわかり易い。
香港貨幣は自由な貨幣であり、いつでも引き出せる。
言論の自由があり、人材、資金、情報なども自由である。
地理的にも5時間で世界の半分(35億人)の人口がいる場所へアクセスできる。
利用者数世界3位の国際空港があり、世界有数の貨物基地、95を超える航空会社が毎日900便運航している。
世界中160以上目的地まで空路が結ばれている。
周辺の国にも商売ができ、物の販売、サービスを提供する上で、香港を拠点にできる。さらに税金負担が少ない(事業所税16.5%まで、個人所得税15%まで、個人的な年金5%、消費税、キャッピタルゲイン税、源泉徴収、グローバル税、ワイン課税は無い。)などお話しいただいた。

近年は啓徳空港が廃止されランタオ島沖の新香港国際空港に移転したことで、これまで啓徳空港への着陸時の航路となっていた九龍地区の高さ規制が外され、オフィスと住居を主体とした複合施設の再開発事業が活発に行われている。
西九龍地区では、オフィス、住居、ショッピングモール、ホテルなどを兼ね備えた巨大複合施設の「ユニオンスクエア」に隣接して「西九龍文化施設群」と呼ばれる現代美術館や劇場、ホール、展示場、スタジアムなどを兼ね備えた文化施設が建設される計画や世界的な規模でクルーズの拠点を建設する計画がある。
また香港から深セン経由で中国本土(北京や主要都市)を結ぶ高速鉄道の建設も計画されており、街の至る所で工事が行われているなどインフラへの投資も盛んに行われており、活気に満ち溢れている。
インベスト香港にて
16:00−16:45 香港貿易発展局を訪問し、マイラ氏より香港におけるビジネスチャンスや発展局の仕事内容について聞いた。
香港は1997年に中国に返還されて以来、ますます発展している。最近の新しい流れは中国は生産拠点だけではなく、消費拠点にもなりつつあり、消費マーケット(中国の中間層の消費の見方が変わってきている。)は流行りものやハイクオリティなものを求めており、高価なものであっても質が良く、安心、安全な商品であれば購買意欲がある。
生活様式も健康志向、旅行、ブランド志向などに変化している。
香港は、ワインの課税が無いため、ワインの取引の重要な拠点となっている。香港貿易発展局は毎年11月にワインフェアを実施している。日本企業も参加しており、北海道や山梨産のワインのみならず、日本酒や焼酎も人気があるなど、ビジネスチャンスについてお話しいただいた。
香港貿易発展局は、世界40箇所に事務所を設けており、中小企業を主にターゲットとして香港・中国市場の情報や最新の市場調査の結果を報告している。
各業者の情報を集めたデータバンクを持っており、それを利用してビジネスマッチングも行っている。取引先を求めている場合には紹介もしている。商品の展示会(トレードフェア)は年間30回以上行っている。
アジア最大の展示会を年7回、世界最大の展示会を3回実施しており、日本から600社以上が参加している。日本のバイヤーは今まで1万6千人以上であり、業界では電子関係の展示会が人気だという。
香港の様子
3日目(11月25日(金)晴れ)
9:30 九龍ターミナルから高速船にて一路マカオへ。
10:40 マカオへ到着し、入国検査を行う。ちょうどラッシュの時間帯で各地域から順次高速船が到着し、港内は人で溢れていた。
1時間近く列に並び、ゲートを通過した。
午後 世界遺産の街・マカオ市内を見学し、「砲台跡」「セイントポール大聖堂跡」「聖ドミニコ教会」「セナド広場」など世界遺産を歩いてまわった。2005年にマカオの旧市街地が世界遺産(22カ所の歴史的建築物と8カ所の広場)に登録されている。
「モンテの砦(大砲台)」前にて 「セイントポール大聖堂」前にて
4日目(11月26日(土))
9:30 出国検査後、マカオ港からターボジェットにて、香港国際空港へ。
13:15 香港国際空港を出発。
16:55 台北国際空港(チャイナエアライン)を乗り継ぎ、空路、広島空港へ。
20:05 全員無事に広島空港へ到着し、解散式では、松葉会長より「今回の視察も大変良く勉強した。香港・マカオの地域・経済事情について理解を深めることができた。今回の視察で学んだことを参加者だけでなく、会員事業所へしっかり情報提供し、今後のビジネスチャンスへ繋げて欲しい。」と挨拶され、空港ロビーにて解散した。


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