HOME > 平成22年度中国「舟山・上海・連雲港」視察会




平成22年7月2日(金)〜6日(火)参加者24名で、中国の「舟山・上海・連雲港」視察会を訪問した。

(1日目7月2日)
10:00 上海浦東空港へ到着した。第二ターミナルが完成しており、巨大な空港になっていた。今後第4ターミナルまで作るそうで、アジアのハブ空港としての地位を確立している。
神原汽船中国の楊さんや現地ガイド(殷さん)の迎えを受け、バスで舟山へ向け出発。
杭州湾大橋(35Km)、サンフランシスコの金門橋をまねて作ったという金塘大橋を経由しシェラトン舟山ホテルへ。道中、この時期にしかないという山桃を道端で多く売っていた。このホテルは、1泊20,000円ということだが中国人も多く泊まっていたので、金持ちが増えたと言う話も納得できた。
舟山市政府庁舎の訪問では無く、ホテルで会見ということになった。テレビカメラも入りものものしい雰囲気であった。
舟山市の周国輝市長、王忠志副市長他市幹部8名、常石グループの神原代表他幹部も同席し、王副市長の司会で会談が始まった。
まず、それぞれの出席者紹介が行われた後、周市長の挨拶があった。舟山市の現況、GDPは年率15%を超える成長を見せ、前途は洋々としたものであるといったことを話していた。これまで、中国を訪問すると、どんなサービスでもするので是非投資や進出をして欲しいという話が多かったが、今回はそのような話は微塵もなく、舟山市は経済も民生も発展しているが、福山市はどうなのという雰囲気で中国の自信を感じた。時代の流れを肌で感じた。
その後、羽田市長の挨拶、藤井団長の挨拶の後、懇談に入った。
記念品交換(舟山市は、切手シートの入った写真集、福山市はばらのブリザードフラワー、当所はミニ琴)で会談は終了。
会場を移して、舟山市主催の晩餐会。
終了後、バスで「沈家門屋台」へ移動。100軒以上の屋根のある屋台が軒を連ね、金曜日ということもあり多くの市民(?)で賑わっていた。中国でも有数の漁場という事もあり、新鮮な魚介類が提供されていた。また、若い女性の流しもいて日本の歌をギターの伴奏で歌っていた。

(2日目7月3日)
8:30常石造船のバス2台に分乗して出発。大きな荷物は別のバスで小洋山港へ。
途中、普陀山観光に行く人で賑わう地域(橋が出来たので上海等から車で来る人が増え、大駐車場の整備を行っていた)や普陀山空港を経て、海水浴場のあるリゾート「稼尖(かせん)」を見学。ここでは中国国際彫刻祭が開催せれるそうだ。たくさんの砂の彫刻が残っていた。リゾートという事で別荘やホテルも多くあったが、投資目的のものも多いそうである。海岸の砂は非常にキメが細かく、彫刻には向いていそうだった。海は波が結構あり遠浅で水はあまりきれいではなかった。7月1日から中国では夏休みが始まったそうで、多くの子供たちが遊んでいた。
三江港から常石造船のある秀山港へフェリーで移動。
常石造船秀山工場で懇談。 
2003/12開業、塩田跡だったため土地の買収が比較的容易だった。現在舟台2基、建造ドック1基を持ち8万トン級のばら積船を建造するとともに、船員の居住区を組み立て製造し、日本の本社に納入している。日本の100%独資のため、規制も多く地域貢献も必要。廃校となった中学校を活用し、全寮制の技術専門校を設立運営、元から住んでいた住民に移転してもらうために新たな住居の建設、トンネル工事費やインフラの整備費の寄付を行い地元との融和に努めているそうである。この工場の周辺には1万トン以上の造船所が40か所、小型粗悪船を作る造船所もいれると100か所以上造船所があり、浙江省は中国で一番造船所が集積しているそうだ。
視察後、常石造船迎賓館で昼食をご馳走になる。ここは船のオーナーや政府の要人を歓待するために作られたもので、立派な日本庭園や宿泊施設もある。昼食会では白酒の乾杯・乾杯で体調を崩した人もいた。中国のカンペイはやっぱり恐るべきものである。
岱山港経由で、上海深水港のある小洋山へ移動し、そこからはバスで東海大橋(30Km)を経由し上海市内のホテルへ。夕食後、バンドの夜景見学を行った。

(3日目7月4日)
8:30ホテルを出発し、浦東地区にある上海ワールドフィナンシャルセンターへ向かう。
世界一高い展望台(地上474m)「スカイウオーク100」より上海市内を一望したが、生憎の天気でよく周囲は見えなかったが、雲の中より時々浮かび上がる金茂ビルや東方明珠タワーは非常に幻想的なものであった。
10:00西蔵南路トンネルを経由し上海万博会場のCゾーンにある駐車場に到着。
すでに、中国各地から来たバスで駐車場はあふれ、多くの人が入場ゲートに徒歩で向かっていた。我々も人の流れに乗って入場ゲートに向かい、Bゾーンから電気バスに乗車し、中国館に向かう。今回の万博での1番人気館はサウジアラビア館で5時間待ち、観客の先頭を警察官が誘導しないと収拾がつかないそうである。多くの人で溢れている会場で、欧米人をあまり見かけなかったのは意外であった。とにかく暑い。日本で真夏に1度か2度あるくらいの気象条件の中、16時から予約の取れていた中国館で11時への時間変更交渉をガイドの殷さんが行い成功。殷さんも万博は5回目だが初めて中国館に入れると喜んでいた。
中国館は入るとすぐ、中国人の歴史を語る全天空型ビデオを鑑賞。引き続き絵巻の中で人々が動き廻る古い時代の人々の生活を再現した古代絵巻(現物は台湾の故宮博物院所蔵)や西安で出土した国宝の4頭だて馬車の実物を鑑賞。子供たちが描いた未来の夢が数多く展示されていたり、環境をテーマにした展示が多いように感じた。約1時間見学した後、昼食の幕の内弁当をいただく。13時に都市未来館を予約していたが、暑さのため皆もう良いという事で、ホテルに帰り1時間程度休憩。
15:30上海虹橋空港に向け出発。チェックインを済ませ時間通り飛行機(1・2列で48人乗りの小型機)に乗り込む。出発時間が迫る中、あたりが一面暗くなり「雷雲のため出発を見合わせる」とアナウンス、滝のような雨が機体を叩く。1時間20分遅れて連雲港に向けて離陸。
遅くなったのでホテル(ここも昔の高級ホテルの感じ、ロビーで映画の撮影が行われていた)の会議室で西洋料理の夕食を取って解散。

(4日目7月5日)
連雲港順福食品有限公司を視察。ここはゴボウの加工では中国で1番だそうで、玉ねぎ、にんじん、れんこんを中心に加工を行い、ほとんど日本に輸出している。年間3,000TEUを連雲港から東京・横浜・名古屋・神戸・大阪・博多港へ出しているそうだ。社長は日本へ出張中ということで、孫日本貿易部長の案内で工場を見学。人海戦術で玉ねぎの皮むきやゴボウのひげ取りを行っていた。今の時期は農繁期で従業員の多くは農作業に帰っているそうである。この時期のゴボウは2,000Km離れた雲南省の自社農園から運んでいるそうだ。
ここで、日陰に置こうとバックしていたバスが工場の壁にぶつかり動かなくなったため、急遽会社のバスを借りて徐う新区(開発区)へ向かう。ここは塩田跡地に1辺25Kmの広大な土地を開発し、中に雲湖という大きな湖を配置し、製鉄所や石油化学工場を誘致するとともに、新しい街と港を作るという壮大な構想で、まだ埋め立て中でほんの一部しか出来ていないが、2013年の完成を1年早めて2012年には完成させるそうである。本当にできるのかと疑問だが、説明してくれた王建明副主任以下皆さん本気であった。今回同行いただいたJ&Kロジステック(株)の原社長さんも必ずやり遂げるだろうというご意見だった。
説明会場は大きなジオラマなどを配置した体育館のようなところだったが、冷房も無く、通訳(大阪の桃山学院に留学していたそうだ)の話も良く聞き取れなかった。
午後は、連雲港の視察を行った。ガントリークレーンが10数基ならぶ大きな港であったが、沖合の東西連島に新しい港を建設中で、こんなに作ってどうするんだろうというのが正直な感想である。
その後、中国中西部を貫いてモスクワ、ロッテルダムまで続く新ユーラシアンランドブリッジの基点を視察。この鉄道がヨーロッパまで続いているのかと思うと壮大な気分になった。
連雲港市政府を表敬訪問。最初は10名程度しか入れないという事だったが、全員の席を準備いただいた。中国はどこでもそうであるが、市庁舎は立派である。しかし、一般市民は中に入れないのではないだろうかと思う。
連雲港市長が出張中ということで、張序余副市長以下の歓迎を受ける。副市長の話は舟山市と同じで、連雲港の概況の説明や、GDPも13%の成長を続けており、開発区が完成すれば、新ユーラシアンランドブリッジの基点としてますます発展を続けるであろうということなどであった。
羽田市長、藤井団長の挨拶の後、記念品交換(連雲港は神奇浪漫之都という切手シートが入った冊子、市はばらのブリザードフラワー、当所はミニ琴)や短い時間であったが懇談を行った。
18:00張副市長をはじめ、外事弁公室の副主任、連雲港商工会議所の副会頭、国際物流会社社長、建設会社社長などがホテルに到着し、交流会を開催。羽田市長、強副市長の挨拶の後、豊田副団長の乾杯で宴を始めた。

(5日目7月6日)
9:45連雲港市空港を離れ、上海空港で、グローカルの桑原さん、常石ポートの小森さんと合流し、グローカルプラザジャパンへ向かう。
上海の一等地にあるマンション(5億円の部屋もある)の地階にグローカルプラザジャパンは立地している。中国の富裕層をターゲットにした高級スーパーであるが、人も余り入っていなく閑散としていた。魚とか寿司・精肉は日本と変わらない値段で置いてあった。上のマンションが投資目的に購入されているのが半分あり、人が住んでいないのも誤算の一つだそうである。
13:30日本で言う原宿のような洒落たカフェなどが並ぶ通りを通って昼食会場へ向かう。昼食後、神原汽船(中国)船務有限公司を訪問。豫園の近くで黄浦江に面したビルの24階フロアで上海の街が一望できた。
龍陽路駅からリニアモーターカーで浦東空港へ向かう。3分間で時速430Kmになり約1分間そのまま走行し、3分間で減速する7分間の旅であった。
18:10 約40分遅れで浦東空港を出発し、21:10広島空港へ無事到着した。

今回の訪問では、中国の力強い躍動感に溢れた動きに直接触れることができた。
停滞気味の日本がいずれ中国に飲み込まれるのではないかという恐怖も覚えた。しかし、どこへ行っても建設用のクレーンが見られ、マンションなどもどんどんできているが、ほとんどは人が入居しない投資目的で買われるそうで、不動産バブルの危うさも感じた。
今後、この国といかに付きあっていくか、慎重な対応が必要と思う。
港については、中国の港はどこも巨大で新航路の開設は荷物の問題もあり難しいと思うが、粘り強く地道に船社等と交渉したり、荷主の発掘をする必要がある。
インバウンド観光についても、万博の人出や高級ホテルへ平気で泊まるなど、中国人の経済力も随分上がっているようなので、良いメニューさえ示せば期待できるのではないかと感じた。


常石(舟山)造船有限公司にて
舟山市政府表敬訪問(周国輝市長、王忠志副市長等と会談) 常石(舟山)造船有限公司視察
小洋山港 上海万博見学
連雲港順福食品有限公社視察 連雲港順福食品有限公社視察
徐う新区(開発区) 連雲港視察ユーラシアンランドブリッジ起点視察
連雲港市政府表敬訪問(張序余副市長へ羽田福山市長よりばらのブリザードフラワーを贈呈) 連雲港市政府表敬訪問(張序余副市長へ藤井副会頭よりミニ琴を贈呈)



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