HOME > JAPANブランド育成支援事業海外市場調査(パリ・ソウル)報告



 11月4日から12日(8泊9日)までJAPANブランド育成支援事業海外市場調査として、パリ・ソウルを訪問した。

参画事業者5名、三宅コーディネーター、事務局1名、合計7名参加。


【フランスにおける市場調査】

 
パリ市内に拠点を置き市内の百貨店、酒店、日本食材店等を5日間の日程で訪問した。



 パリ市内で、高級日本食材店「ワークショップ(workshop ISSE)」を訪問。オーナーの黒田 利朗氏は、香川県出身。同時通訳者でもある黒田氏は、美味しいものの趣味が高じてISEEを10年前より創業。
 お店で取り扱う食材の高さから顧客の半数を星付きフレンチレストランの有名シェフやソムリエたちが占めているため、パリの料理関係者のサロン的存在になっている。早速、黒田氏・奥様に4社の保命酒を試飲してもらう。フランスでは、基本的には「みりん」というものは存在せず「甘い」という感想が強かった。
 また、熟成=度数が「14度」ということで4社の比較において、味や香りの強さで優劣が示された。
 ある保命酒について、フランスでの極上リキュール「シャルトリューズ」と同等のようだとも言われた。
フランスでも効能性を表に出すことは無理。その他保命酒関連商品も紹介する。黒田氏は、関連商品はやらない方が良い。本命を集中的にマーケティングした方が良い、イメージダウンになると結論的に話された。

workshop ISSE オーナーの黒田氏(右端)と奥様

 


 つぎのお店訪問は「コントワール・デ・ザベイ(Comptoir des Abbayes)。
 このお店は、フランス各地の修道院で修道士や修道女達の手によって作られている品々を取りそろえたブティックで、商品アイテムは、コンフィチュール・ハチミツ・お菓子・ワイン・リキュール・ハーブティ・石鹸等様々。
 現地リキュールの試飲・関連商品の試食の品々を調達した。

Comptoir des Abbayes



 パリの日曜日は、お店の定休日が多いため、お店訪問はなく朝市を視察した。
まずは、地下鉄メトロ6番線が走っている高架下のマルシェ朝市「グルネル朝市」を訪問。この朝市は毎週水曜と日曜に開かれる。食料品が主で、野菜・果物・肉・チーズ・乳製品・魚の他、惣菜・ケーキ・パン・花、日によってはハチミツ・牡蠣・ワインなど特化した屋台も並ぶそうだ。食料品のほかにも、衣類や日常雑貨などを売る店もあり、だいたいのものがここで揃えられそうだ。
 この朝市は、駅から隣駅までのひと区間、100メートル以上続き、パリ市民大勢の買い物客でごった返し、とても賑やかであった。

マルシェ朝市



 マドレーヌ広場に立地する、1935年創業の老舗
「Au Verger de la Madeleine」を訪問し、オーナーのジル・モニ氏に4社の保命酒を試飲していただいた。
 ジル氏は、今回生まれてはじめて日本のリキュールを飲んだと言われて単刀直入に次のように感想を述べた。
全体的に度数が低いが、いけると思う。市場としてはあると思う。
アルコール度数を上げた方が良い。フランス人は35度以上に慣れており、インパクトで負ける。
今後の展開としては、保命酒をカクテルやブレンドとして使えば美味しく飲めるのではないかとアドバイスをいただいた。

「Au Verger de la Madeleine」の店舗 オーナーのジル・モニ氏



F
OODEX代表の中谷氏と面談した。
宝酒造グループ「フーデックス社」は、フランス最大規模の日本食材輸入卸会社で、米、清酒、調味料などをホテル、レストラン、カフェ等へ販売されている。近年、フランスの日本食市場の拡大とスイス、イタリア等の周辺国への進出で成長を続けている。松竹梅(白壁蔵)をはじめとする清酒のほか、全量芋焼酎など「一刻者」等の焼酎、みりん等の調味料を販売している。
今パリでは、健康にいいということで「梅酒」が受けている。
保命酒をどういう形で飲んでもらうか、飲み方の提案が必要であると言われた。

FOODEX社前にて FOODEX 代表の中谷氏(中央)との面談



JETRO パリセンターを訪問し、 次長の佐藤 隆正 氏と食品・農林水産担当の村山 牧衣子 氏にお会いし、日本食のフランスでの発信と、日本のコンテンツの発信について懇談した

フランスでは日本食が大人気。オペラ座周辺には日本食レストランが山ほどある。今人気なのはゆずやわさびだが、まだ丸のままでははいっておらず、果汁エキスやチューブで入っている。
フランスでは日本食というと「寿司」、「さしみ」、「焼き鳥」をさし、かつては「天ぷら」、「しゃぶしゃぶ」も入っていたそうだが、今はこの三大日本食が日本を代表する三品になっている。

 ジェトロパリセンターでは、懇談時間がさほどとれず、保命酒4社分と関連商品を置いて帰った。

ジェトロパリセンター 村山氏・佐藤氏との会談



「MAISON du WISKY」を訪問し、試飲していただいた。
このお店は、ウイスキー、ウォッカ、ジン等を扱う店で、ワインの国フランスでは異色な店構えだった。
オーナーが日本ひいきで、ニッカウヰスキー等日本専用の棚がもうけてあった。
 ここでは、現地女性ではじめて試飲をしてもらった。
 やはり、フランス人はメディカルなとがった味を好み、これはパリの今風であると言っていた。

MAISON du WISKY オーナー(右)とスタッフ



今回のパリでの調査を通じて、現地の日本人店主は「薬用」をうたえないが、やはり「保命酒」を使った関連商品でアプローチするより、「保命酒」のままアプローチした方が良いという意見が多かった。
一方、現地フランス人からすると、「保命酒」そのものよりも、お菓子の原料や調味料としてアプローチをして、それから「保命酒」ではないかという意見もあった。いずれにしても、今回はパリ市内の一部での調査であったたが、何らかの手ごたえは感じとられたのではないかと思う。

【韓国における市場調査】

 
パリから韓国ソウル市に移り、2日間の日程で訪問した。

 ソウル市内のロッテ・新世界百貨店を視察した。
 とりわけ食料品売り場は出店している店舗及びその陳列方法が、今日の日本の百貨店業界でも最先端として注目されており各国から店内視察訪れていた。
 売り場では、鮮度の演出、色彩(カラフル)、バライティ(品数)の豊富さには圧倒された。
 日本の食も例えば、饅頭、アンパン、お茶等も売り場にあった。但し、韓国企業の製造物。
 酒の売り場では、品数は少ないものの日本から輸出されている「日本酒」が目にとまった。
 我々の名の知れない銘柄も結構置いてあった。
 店員の話では、(売り場では日本語が通用)韓国焼酎は30〜40度と度数が高いため、度数の低い日本酒は「辛口」の方が好まれているそうだ。
 韓国人のお酒の飲み方としては、飲食店での飲みの傾向が強いらしい。早速、飲食店で見てみると、お酒(百歳酒 ベクセジュ)をほとんどの韓国人客が飲んでいた。日本における日本酒感覚で提供されており単価的にも安く、屋台にも置いてあった。
 韓国では、漢方はもちろん百歳酒(ベクセジュ)等、薬酒の文化もあり、果たして日本の「保命酒」は韓国で売れるのか、JETROソウルセンターとエージェント契約の流通コンサルタント 大久保 茂 氏と懇談した。
 大久保氏の話によると、以前、「養命酒」の韓国進出の話があったようだが、途中で取りやめになった。韓国人にとって日本の薬味酒は全くなじみがない。「黒酢」は韓国で一時出廻ったが、後に韓国企業にコピーされ日本商品より安価な値段で流通し、勢いはなくなった。この事例は「チョーヤの梅酒」についても同様であると言われた。
 韓国人は、日本人よりアルコールの摂取量が多いのでその意味では、チャンスはあると言える。
 しかし、即効性を求める方が多いので「効果・効能」をはっきり出す方が良いとも言われた。
 また、歴史をうたうより「健康酒」としてのイメージ戦略を行った方が良い。
 価格では韓国企業に負けるため、高級ブランドのイメージで行った方が良い。売り場は店舗直営化セレクトショップ、百貨店に絞られるが、韓国の百貨店といっても売り上げがのびている店舗は全国でも10店舗ほどであると言われた。
 また、韓国ではマーケティング・プロモーションに経費がかかるともいわれたが、韓国進出にはてごたえはありそうと皆さん感じられた。
 最後に大久保氏から、韓国も含め海外市場へ出す場合は、必ず「商標登録」をとることとアドバイスを受けた。
 なお、大久保氏へは、4社の保命酒各一本ずつと関連商品を預け、韓国内のバイヤーへ試飲・試食してもらい、アンケートにも答えて頂くよう申し伝え、12月半ばまでにはバイヤーからの回答がある予定。


JETROソウルセンターとの懇談 百歳酒(ベクセジュ)(中央)
KOREA FOOD EXPO2011 JETROブース KOREA FOOD EXPO2011



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