「少女たちの羅針盤」映画製作の現場から【後編】TOP > 「少女たちの羅針盤」映画製作の現場から【前編】TOP> 第1話

【前 編】
 第1回「ばらのまち福山ミステリー文学新人賞」で優秀賞を受賞した水生大海さんの小説「少女たちの羅針盤」の映画化が決まり、昨年(2010年)6月末から7月末にかけて、福山市内全域でロケが敢行されました。
 その折、福山商工会議所から地元支援スタッフとして参加した 職員・片岡 達樹 が経験した、感動と笑い、そしてちょっと大変だった48日間の物語を映画公開まで毎週お届けします。
文責:片岡 達樹)
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【第1話】
「美術ってどんな仕事?・美術の責任者ってどんな人?」
update:2011.02.10


 当然、映画制作なんて「ド素人」の私です。しかも、「最後に劇場で映画を観たのは???」と考えても、答えが見つからないほど映画から遠ざかっています。

 福山市のロケ総括責任者から、「美術の責任者がロケハンで来ているから顔合わせをする」と電話がありました。「まぁ、行ってみるか」なんて気楽な気持ちで行ってみると、なんとイカツイ顔をしたOさんを紹介され、名刺交換。

 福山市からは「情報提供程度で協力してくれるだけで良い」と言われてロケに参加したのですが、プロデューサーのKさんやOさんは、威圧感全開で「最後まで付き合っていただけるのでしょうね!」と、絶対に逃がさないといった構え。

 「話が違う!」と地元責任者に訴えるのですが「まぁ、映画関係者は冗談がきついから、気にすることはないよ」と、簡単に言うではないですか。正に、二階に押し上げられて梯子を盗られたわけで、その時、腹をくくったのでした。

 ロケハンを途中で抜け、商工会議所へ戻り、「いつ」「どの作品を」「誰(監督)と」...と、Oさんの経歴を調べて行くと、なんと、とてつもない人たちと、とてつもない名画の制作に携わっている方ではないですか。

 「とんでもないことになったなぁ」と思いながらも、「こんな、超一流の人たちと一緒に仕事ができるのなら、超一流の人から認められる仕事をやってやろうじゃないか!」と決意したくても、所詮は素人。Oさんが仕事に立ち向かう姿勢を読みながら、足手まといにならない程度で...なんて思ってしまいました。

 美術の仕事って、劇中で使う物品を、調達し(借りる)、ロケ現場へ運び込み、飾り付け。そして、ロケが終わると現場を片付け、返却する。
 簡単に言えばそんなところですが、要求された物品は、どこに行けばあるのかを探し出すことが難しいのです。

 Oさんが東京へ帰り、いよいよ調達する物品のリストがFAXで入ってきました。

 例えば、「ベンチ」!頭の中にイメージを描き...金属製では面白くないだろう...とか、綺麗すぎてもリアル感が出ないだろうとか...

 大体のことはイメージできるのですが、やはり東京と福山ですから、FAXやメール、電話での話しかできません。微妙なところでOさんの描くイメージがつかめず、「表情と併せて伝わる生の言葉の力」をヒシヒシと感じました。

 その他、たくさんの要求がありましたが、ほとんどを市内で探し出すことができ、東京からロケ本体が到着するまでの間、ロッカーや机、椅子などを市内全域から美術班倉庫へ集め、そして私自身の準備として、「映画スタッフならハンチングを被らなければ」と、ハンチングを買うためだけに、個人負担で京都の河原町へ行ったのでした。

でも、初対面の時、威圧感全開だったKさんやOさんも、離れて半年が経過した今、「また逢いたいなー!」と思う、魅力満載のお二人でした。
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次回のお話は、2月14日UP予定
【少女たちの羅針盤】
 「羅針盤」という名で注目を集め始めた女子高校生4人の演劇ユニットで起きた事件。事件の真相が4年後、明らかになる。

【関連サイト】

 ・少女たちの羅針盤公式サイト

 ・ばらのまち福山ミステリー文学新人賞
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